本のはなし 8

gogoemipon2005-05-08

[BOOKS] この連休中、Hちゃん宅にはわんこママのみなさんが訪問していて、農園関係者のみなさんとも楽しく交流なさったそうで、あぁぁ、うらやましい、わたしも混ざりたかったよ〜ん。いいなぁぁ! わたしはベランダ農園の手入れに余念なく頑張っているのだ。それと読書ねっ。



「森の旅人」 ジェーン・グドール



またまた霊長類本。チンパンジーの野外研究の大御所グドール博士は1936年イギリスに生まれ、1960年からアフリカ・ゴンベの森でチンパンジーの研究に着手。いわゆる動物行動学等の専門教育を受けていなかった事が幸いし、何の先入観も無くそれまでの学説にとらわれずに観察を行った。信仰心に篤く科学と宗教に垣根は無いという信念のもと、野生チンパンジーの保護と彼らの環境を守ること、飼育下のチンパンジー環境保護や実験動物の飼育状況の改善など多岐にわたって活動を続けている。ジェーン・グドール研究所には日本支部もあり会員も募集している。他の多くの類人猿研究者と同じく、類人猿の研究を通し人間を知り、その未来を少しでも希望あるものにするためにその生涯をささげている彼女のこの本は、単に動物行動学の解説書ではなく哲学的で人類の未来を深く語るすばらしい一冊。「自分一人では何もできるわけがないと思うのは間違いですよ、あなたにも出来ることがたくさんあります」というメッセージが素直に感じられる。どうぞ手にとってみて下さい。



ゴッホ殺人事件」 高橋 克彦



パリで絵画修復の仕事をしている加納由梨子に母の自殺の報がもたらされる。帰国した彼女が見つけた一枚のリスト。それは第二次世界大戦ナチスが押収したゴッホの未発見作品なのか?オルセー美術館のマーゴと共にその謎を追うが、次々と事件と謎が。久々の塔馬双太郎もので、絵画シリーズである。舞台もパリと東京をメインにモサドの捜査員も登場してサスペンスの色合い。浮世絵シリーズより活動的だがゴッホの死の真相や生前に評価を受けなかったことの考察など高橋作品のキモがしっかり入っている。浮世絵の方がなんとなく馴染みがあるのだが、美術ネタはやはり興味深く楽しめた。高橋作品未読の方は乱歩賞受賞作品の「写楽殺人事件」からどうぞ。本書も「写楽〜」も講談社文庫既刊。



今日の一枚  「ここねー、気持ちいいのー」