本のはなし 11

gogoemipon2005-06-05

[BOOKS] ぐりひめの避妊手術は今月後半に決まった。術後、傷を舐めないように腹帯をさせる予定。先日ワクチン接種のため病院に行ったとき、サイズを確認することになった。腹帯といっても要は小型犬の着るお洋服。さて、この大きさかしらと真っ赤なのを着せてみる。と、いきなり横倒しにパタッと倒れぴくりともせず! 「いるんですよぉ、たまぁに。こうやって固まっちゃう子〜。袋に詰められちゃってるキモチなのかしら」と看護師さん。目だけで「おかぁさん、アタシ、どうなっちゃってるの?」と訴えてくるぐりたん。一同そのヘンチクな様子に大受けだった。本番ではもう少しゆるみのあるのにしたから、うごくのよぉー。



今回のご紹介は宮部みゆき氏の時代物3作。



「ぼんくら」

八丁堀同心をつとめる井筒平四郎、三十俵二人扶持で正式には南町奉行所定町廻臨時役。ざっかけなくて面倒ごとがきらいで、見回り途中に鉄瓶長屋の煮物屋お徳の店先で熱いこんにゃく田楽を食べるのが楽しみで。その鉄瓶長屋の八百屋の息子、太助が殺された。この一件を皮切りに長屋に次々事が起こり、店子が減っていく。町を歩けば誰もが振り返るという美少年の甥っ子・弓之介と共に調べを始めるのだが....。

ぼんやりしているようでものの見える平四郎と何でも計ってしまう弓之介のでこぼこコンビが面白い。短編6本+長い中編1本の構成で長編を形作る。読み進むうちに平四郎の人柄にどんどん惹かれていく。



「震える岩」ー霊験お初捕物控ー

兄の岡っ引き・六蔵と一膳飯屋を営む兄嫁と暮らす16才のお初は、人の見えないものが見え、聞こえないものが聞こえる不思議な力を持つ。その能力で町奉行から内々に探索を頼まれ、兄の助けとなっている。ある日、与力見習いの右京之介と町を歩いていると、強烈な頭痛と共に"まぼろし"が見える。油問屋の桶の中にこどもが沈んでいる!早速兄に知らせに駆け戻る.....。2件の幼児殺しを追ううち、この事件には100年前の大事件に関わりがあることがわかってきた。

気が強くて正義感の強いお初、近眼で本当は算学者になりたい右京之介のコンビが事件の謎を解いていく。まわりの人々の人物造形もそれぞれ魅力的で江戸の町に引き込まれていく。超能力という時代物に溶け込ませるのに難しい材料が違和感なく発揮されている。



「天狗風」ー霊験お初捕物控<二>ー

下駄屋のおあき、八百屋のお律が相次いで神隠しに遭う。どちらも明け方、つむじ風とともに姿を消した。そのつむじ風に魔物の気配を感じ取ったお初は真相解明に乗り出す。

"お初シリーズ" 第2弾、前作からおよそ1年、右京之介は算学者の道を歩み始めている。お馴染みの顔ぶれが活躍する本作は脇役にねこたちが登場、一段と面白い設定で楽しい。


以上すべて講談社文庫既刊。宮部みゆきの時代物は評判が良かったものの、わたしは今まで未読。これがすごく面白い。「ぼんくら」の続きは新刊本「日暮らし」が出ていて、わたしは図書館で予約、順番来るのを待っているのだけど300人待ち! 今年中にまわってくるかなぁ。



今日の一枚  「赤いの似合うよって、せんせい言ったの」