宮沢賢治童話大全 3
[BOOKS] 去年作った版画「My Bremen」という作品がある。
「ブレーメンの音楽隊」の、ロバ・イヌ・ネコ・ニワトリをサイ・ブタ・キツネ・ペンギンにしたもの。絵本の表紙をイメージして作った。一応の完成を見て、いくつか差し上げたりしたのだが、いまだにちびちびと手を入れている。これがメゾチントのやなとこ、とゆーか。グレイの部分をもうすこし白くしようかな、とかブタも、もすこし明るくしようか、などと削ってゆくときりが無い。一度白くしてしまうともう戻らないため、オッカナビックリでチマチマいじるから、ますます優柔不断な作業になるのだ。エイッと終了してメッキ屋さんに出してしまえばもう直せないし決着がつくんだけどねぇ、あぁ、どうすっかなぁ。
さて、いまいちニガテな宮沢賢治であったが、こどもが生まれ、だんだん大きくなって絵本のかたちになっている作品を手にすることになった。偕成社の大型絵本「日本の童話傑作選」宮沢賢治シリーズは、とても力が入っていてわたしの大キライなマンガ系挿絵ではなく、本格的な絵をお描きになる作家の方々の手で、不気味な絵だったり、不思議な絵だったり、でよい。
「セロ弾きのゴーシュ」は茂田井武先生のものがあまりにも有名だが、偕成社版の赤羽末吉先生のもよいです。狸の子の目のまわりがまっくろで、かわいいんだか、ブキミなんだか。
わたしは絵が好きなせいだからか、以前よりはふむふむと賢治作品を味わえるようにはなった。(もっとも当時、ムスコには不評でしたね 「かーちゃん、わかんないよ」であった、やはり。)「字」だけだとギクシャクと飲み込めない、というかんじが薄まるんでしょうか。ひとつの作品を何度も繰り返して読む、というのが賢治作品には重要なのかもね。
とはいえ、やはりファンにはなれない。「雪わたり」のようなかわいらしいものもあるけれど、ゴーシュさんはめそめそ泣いたりするくせにこわいし、「どんぐりと山猫」の別当さんはナニモノだー、だし。イジワルでコワイ系が多いよねー。
今日の一枚 「うゎ、こわいっ!! 」
「My Bremen」です。くりっくして見てね。