ゲド戦記

gogoemipon2006-08-03

[ETC] ゲド戦記

見てきました。

アニメに限らず、先日見に行った「ダヴィンチ・コード」にしても”映画化”されたものと原作との違いを言及してもあまり意味がないと思う。字を視るのと絵を視るのは脳の違うところ使うんだし。

映画化されて「あのシーンを動かすとこんなかんじ」と思ってたところをバッチリ映像にしてくれたりすると(しかもわたしのイメージとピッタリ、な時は特に)楽しいし、原作/映像の齟齬には以前よりあまりこだわらなくなった。そもそも映画が好きだし本と映画で2度楽しめれば。

でも、でもね、ちょっとひどすぎるんじゃないでしょうかっ。

原作「ゲド戦記」は6巻のシリーズ(うち1冊は外伝という短編集)で、この映画は3・4巻をベースにしている。1・2巻で魔法使いとなったゲドの過ちを描き、テナーとの出会いがある。

そして3巻。先の2巻からから20年余りが経ち、大賢人となったゲドのもとに、王子アレンがやってくる。2人は見えない敵を求めて長い旅に出るのだ。4巻になってテナーとテルーの物語となるのだが、映画では3巻に4巻が入れ込まれたようになっている。そもそもここで物語がねじれているのが問題。

なにがすごいってゲドとアレンの旅の発端がまずまったく違う。

えええっ、とびっくり。ど、どういうこと?

いや、観客が全員原作を読んでいるわけじゃ無し違う設定にしたわけね、それならそういうことでと気を取り直すも、そのくせ原作を未読な人にはまったくわからない過去を唐突に言わせたり、なんのことかわかんないでしょ。シリーズの流れを全く無視しているのに要素だけ入れる、旅の前提が違うとしても、最後までアレンの行動の理由もわからず、世界のありようのいびつさを問題にしながらその後はまったく描かない。主人公となるアレンとテルーの最初の反目がどう変わっていったのかのエピソードひとつ無く、いきなりわかりあって助け合う。

?の連続。でもって「悪い魔法使い」をやっつけてハイ、おしまい。

何なんだ、これ!

ゲドは難しい物語でこれを映像化するのは無理がありすぎ、と思っていたが、とにかくどの角度で見てもひどい。人物造形はうすっぺらで、まったく魅力が無く、話はチグハグで半端、どうでもいいシーンが長いくせに大事なとこはすっ飛んでる。

ひとことで言うと「つまんない」のだ。ジブリ作品が好きで、こうして公開されればまもなく劇場に足を運ぶのがバカらしくなるほど。

そしてなぞ。エンドロールで「原作:ゲド戦記、原案:シュナの旅」と出た。「シュナの旅」宮崎駿氏の物語であるが、原作があって、違う物語が原案てどうゆうことなんでしょ?意味不明。

「金かやせー」と叫ぶことも忘れ、呆然としてしまった映画であった。原作者ル・グウィンに合わす顔がないわー。



今日の一枚  「行かなくてよかったー」


追記:同行した某青年の批評もどうぞ。