食べたい!

gogoemipon2006-08-07

[ETC] 暑くなったぁ。

玄関開ければそこには熱風。ま、夏だもん。



ゲドの感想で同行青年が「食いもんがまずそうなのはダメ」と書いていた。映像で食べ物がおいしそうに描けないのは論外、であるが、文章における食べ物の描写と言うのは巧拙がわかりやすい。読んでておなかが減ってくるかどうかだ。



わたしの友人達の間でもひとしきり話題になったのがナルニアの「ライオンと魔女」で出てきた「プリン」だ。魔法がかけられたその「プリン」は「緑色の絹のリボンでしばられたまるい箱」に入っていて「どのプリンもふわふわしてあまい」という。この物語を読んだ日本のこどもは、どうも自分が知っているプリンではなさそうだけれどとてつもなく美味しいものらしい、と思ったものだ。実はこれは「ターキッシュ・ディライト」というお菓子で、「トルコぎゅうひ」との訳もある。翻訳の瀬田貞二氏はまったく馴染みがない食べ物なので、ことさらに違う「プリン」と訳した、とあとがきで述べておられるが、これが多大なる誤解のもと、あこがれのお菓子となったのだった。ライオンと魔女にはフォーンのタムナスさんとのお茶、ムチャクチャ美味しそうなビーバーさんご夫婦との会食も描かれており、今読んでも招ばれたくなる。子供時代に描いていた風景が映画でイメージ通りになっていないとガッカリしてしまうのは大人になってから読んだものより大きいかもしれない。



他にも「ツバメ号とアマゾン号」シリーズの面々がキャンプで食べる食事、そんなにたいしたものはないのだがこどもたちだけで小帆船を操って休みを過ごす、すばらしい物語なので、ゆでたまごとお茶とバタパンでもうらやましくなる。インガルス一家の物語には美味しそうなもの盛りだくさんだが、わたしのお気に入りは「農場の少年」のクリスマスディナー。どれもこれも食べてみたい。

もちろん小説にもいろいろ。村上春樹氏の作品には主人公の男性がごはんを作るシーンが結構出てくるが、印象的なのは「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」生物学者の孫娘が作るサンドウィッチ、主人公がものすごくよく食べる図書館のおねえさんに作ったばんごはん。淡々と書いているだけなのにこの人の描く食事はうまそーなのだ。パスタもよく出てくる。

小食のクセにくいしんぼなので映画でも本でもついつい食べ物に目が行く。

ま、読んでるだけでおなかが鳴る、の最高峰は何と言っても「鬼平犯科帳」ですわねー。昔、靭帯断裂で手術・入院となったとき、このシリーズを持っていって死ぬ思いをしました。カロリー計算された食事で健康的であったが(しかも病院なのにけっこう美味しい)夜、寝しなにちょっと読んだりするとおなかが減って減って。内科外科ともお見舞いにもっともふさわしくない小説です。



今日の一枚  「すっごくハラへった」



追記:実は若旦那、この暑さにちょっとバテ気味で食欲ありません。
   上のキャプションは心外かも。